建設業許可を取得したいけど、執行猶予中の役員がいますが、建設業許可は取得できますか?執行猶予なので大丈夫ですか?との質問をたまに受けることがあります。その他、前科がある場合は建設業許可は取得できるかなど、今回は欠格要件について詳しく解説します。

欠格要件とは?

建設業許可を取得する際には6つの要件をクリアしなければならず、その一つに、

欠格要件に該当しないこと(法第8条)

というものがあります。

建設業許可を取得する際に申請者や役員が欠格要件に当てはまってしまうと、建設業許可を取得することができません。どのような場合が欠格要件に該当するかを見ていきましょう。

虚偽記載について

【①許可申請書又はその添付書類中に重要な事項について虚偽記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき】

という場合に欠格要件に該当します。

これは、建設業許可を申請する場合、申請者や役員等に該当する人は申請書に「賞罰」を記載する書類があります。ここには、過去の罰金刑や禁錮刑を書かなければいけなくてはならないのですが、忘れたい過去のことですので、書かない人や黙っている人がいる場合、嘘を記述してしまう場合は虚偽申請となり、今後5年間、建設業許可を取得することができません。

嘘を書いてもわからないんじゃないの?と言われる方もいらっしゃいますが、役所の方が警察署や関係各所に照会するため、必ず事実が判明してしまうので虚偽申請をしないで、正直に申請しましょう。

賞罰を記載する書類はあくまで申請者や役員等ですので従業員は関係ありません。役員の方で過去の言いたくない事実を黙っている方もいらっしゃいますので、役員選任の際には、信頼できる方を選任することが必要になります。

法人や役員等の欠格要件

【②法人にあっては、当該法人、その法人の役員等、法定代理人、支店又は営業所の代表者が、また、個人にあってはその本人又は支配人棟が、次の要件に該当しているとき】

ア 精神の機能障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者又は破産手続開始決定を受け復権を得ない者

イ 不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、その取り消しの日から5年を経過しない者

ウ 許可の取消しを免れるために、廃業の届出をしてから5年を経過しない者

エ 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれが大であるとき、又は請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない者

オ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

カ 次の法律に違反し、又は罪を犯したことにより罰金刑に処さられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

   (ア)建設業法

   (イ)建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法、職業安定法、労働者 

      派遣法の規定で政令で定める者

   (ウ)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

   (エ)刑法第204条(傷害)、第206条(現場助勢)、第208条(暴行)、第208条の

      2(凶器準備集合及び結集)、第222条(脅迫)又は第247条(背任)の罪 

   (オ)暴力行為等処罰に関する法律

キ 暴力団による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員、又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下暴力団員等という。)

ク 暴力団員等がその事業活動を支配する者

※刑の執行猶予を受けている者は「刑に処せられた者」に該当します。

禁錮刑

禁錮刑とは死刑、懲役刑、禁固刑のことを言います。禁錮刑になった場合、罪名に関係なく欠格事由に該当します。よって、その刑の終わりの日、その刑の執行を受ける事がなくなった日から5年を経過しないと建設業許可を取得することができません。

執行猶予

執行猶予期間は「刑に処せられた者」に該当します。よって欠格事由に該当しますので、執行猶予期間中は建設業許可を取得することができません。

注意が必要なのは、執行猶予期間が満了してから5年間建設業許可が取得できないのではなく、執行猶予期間が満了すれば欠格要件に該当しませんので、建設業許可を取得することができます。

罰金刑

建設業法違反での罰金刑

  • 無許可営業
  • 無許可業者と500万円以上(税込)の下請契約締結
  • 営業停止なのに無視して営業した
  • 営業禁止なのに無視して営業した
  • 虚偽又は不正の建設業許可を取得
  • 虚偽又は不正にて経営事項審査を受けた

その他の法律での罰金刑

  • 建築基準法
  • 宅地造成等規制法
  • 都市計画法
  • 景観法
  • 労働基準法
  • 職業安定法
  • 労働者派遣法
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
  • 刑法(傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫、背任)
  • 暴力行為等処罰に関する法律

以上の禁錮刑、罰金刑になってから5年が経っていない役員等がいる場合は建設業許可を取得することができません。

建設業許可取得後も注意

建設業許可取得後も役員等が上記、禁錮刑や罰金刑に罰せられた場合、欠格事由に該当しますので許可の取消処分が行われます。

せっかく苦労して取得した建設業許可の取消処分が行われると、5年間再取得ができませんので、注意が必要です。

まとめ

今回は執行猶予中の役員がいても建設業許可は取得できる?というテーマについて解説しました。執行猶予中は建設業許可は取得できませんが、執行猶予があければ、5年間待たずに許可が取得できます。

ただし、今回解説しました通り、執行猶予期間のほかに、欠格事由に該当する色々な場合がありますので建設業許可の申請をする前、許可を取得してからも注意が必要です。

ちなみに駐車違反等の交通違反で罰金を取られることがありますが、これらは欠格事由に該当しません。

しかし、悪質な飲酒運転やスピード違反等で執行猶予が付く罪になることがあります。役員の一人がそのような事由に該当していて、知らないでそのまま申請して、警察に照合して判明した場合、虚偽申請になり、5年間建設業許可を取得することができなくなります。そうすると、会社として大変なことになりますので、もしこの罰則の場合はどうなんだろう?と思った場合は事前に役所に問いあわせた方がよろしいかと思います。

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