建設業許可には「知事」と「大臣」許可があります。もし埼玉県の知事許可を取得した場合、埼玉県内でしか仕事はできないのでしょうか?

今回は、建設業許可の「知事」許可の場合は他県で仕事ができないのか?というテーマについて解説したいと思います。

知事許可と大臣許可の違い

知事許可と大臣許可の違いは何でしょう?

それは、営業所がどこにあるかの違いだけです。

知事許可の場合は、1つの都道府県にのみ営業所がありそこでのみ営業する場合は知事許可になります

大臣許可の場合は、2つ以上の都道府県に営業所があり、営業する場合は大臣許可になります。

例えば、本社が埼玉県、支店が千葉県と秋田県にあるような場合は大臣許可になります。

また、埼玉県内に3つの営業所があっても、他県に営業所が無い場合は知事許可になります。

営業所の定義に注意

営業所とは

1.外部から来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結等の実体的な業務を行っていること

2.電話、机、各種事務台帳等を備えていること

3.契約の締結等ができるスペースを有し、かつ、居住部分、他法人又は他の個人事業主とは用意に移動又は撤去できない間仕切り等で明確に区分されているなど独立性が保たれていること

4.事務所としての使用権原を有していること

5.看板、標識等で外部から建設業の営業所であることが分かるように表示してあること

6.常勤役員等(当該常勤役員等を直接に補佐する者を含む)又は施工令第3条に規定する使用人(建設工事の請負契約締結等の権限を付与された者)が常勤していること

7.専任技術者が常勤していること

以上が営業所の定義になります。

簡単にいうと、請負契約をするために必要な事務用品等がそろっていて、建設会社の事務所として明確になっていて、責任者や技術者が常勤していることが必要です。

よって単なる工事事務所や連絡事務所、置き場などは建設業許可が必要な営業所として認められません。

また、営業所としての機能が備わっていても、工事の請負契約や見積は営業所ではなく本社で行う場合はその支店や営業所は建設業許可が必要な営業所として該当しません。

登記上だけの本店・支店・営業所や、建設業の業務と関係ない本店・支店・営業所等は建設業許可が必要な営業所として該当しません。

ただし、他の営業所に対し、請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に関する営業に実質的に関与するものである場合には、建設業許可が必要な営業所に該当します。

要は、本社が埼玉県にあり、支店が千葉県や愛知県にありますが、請負契約や見積はすべて本社の埼玉県で行う場合には、建設業の許可は埼玉県知事許可を取得すれば良く、千葉県や愛知県では請負契約や見積を行わないのであれば、大臣許可を取得する必要はありません。

知事許可でも工事は全国でできますが、請負契約や見積など500万円以上の工事を営業所で契約する場合は大臣許可が必要になります。

まとめ

今回は建設業許可の「知事」許可の場合は他県で仕事ができないのか?というテーマについて解説しました。結論は、「知事」許可でも他県で工事はできます。「知事」と「大臣」の違いは建設業の契約等をする営業所が他県にあるかどうかの違いだけでした。「知事」許可でも全国で工事ができるということがお解りになったと思います。

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