建設業許可を取得するためには、専任技術者が常勤していることが重要な要件の一つです。その専任技術者がもし退職してしまった場合、建設業許可はどのようになるのでしょうか?

専任技術者が退職しても届出も出さずにそのままにしていると、厳しい罰則が課される場合があり、建設業許可が取り消される場合がありますので注意が必要です。

今回は専任技術者が退職した場合についてみていきましょう。

専任技術者が退職した場合

建設業許可を取得する際に、必ず専任技術者(一定年数の建設業での経験を持った人や国家資格取得者で常勤の人)を選出しなければなりません。この専任技術者に該当する人がいなくて建設業許可をすぐには取得することができない会社様も少なからずいらっしゃいます。

せっかく専任技術者を選出して無事、建設業許可を取得しても、その専任技術者が退職してしまった場合、2週間以内に代わりの専任技術者を見つけて変更届を提出しなければ、許可は失効してしまいます。

専任技術者の要件を満たしている人がすぐに見つかる場合には、2週間以内に変更届を提出すれば良いですが、もし代わりの専任技術者が見つからない場合に何も届けを出さないでいると、建設業許可を取り消され厳しい罰則が課されることがあります。

よって専任技術者が退職した場合にどのようにすれば良いかご説明します。

専任技術者が退職した場合の対処のしかた

1.後任の専任技術者がいる場合

この場合は2週間以内に必ず変更届を提出してください。2週間はかなり短い期間ですが、現専任技術者の退職が決まったら、直ぐに後任の専任技術者の変更届を提出する準備をしてください。提出する変更届は以下の書類です。

  1. 変更届出書(様式第22号の2)第一面
  2. 専任技術者証明書(様式第8号)
  3. 技術者の要件を証する書類いずれか(実務経験証明書(様式第9号)、卒業証明書と実務経験証明書(様式第9号)、卒業証書の写し(原本提示)と実務経験証明書(様式第9号)、資格を証する証明書等の写し(原本も提示))
  4. 特定建設業の場合は、さらに次の要件を証する書面いずれか(指導監督的実務経験証明書(様式第10号)、資格を証する証明書等の写し(原本も提示))
  5. 専任技術者の常勤の確認資料

2.後任の専任技術者がいない場合

後任の専任技術者がいない場合は少しピンチです。まずは順番に対処してください。

1.自社の中で経験を満たす人がいないか、資格を持っている人がいないか探す

まず最初に自社で実務経験を満たしそれを証明できる人がいないか?資格を持っている人がいないかを探します。

該当する人がいない場合は

2.経験を満たす人、資格を持っている人を雇用する

次に自社で見当たらない場合は外部から探すしかありません。変更届の提出期限まで2週間と短い期間ですが、退職する人は、突然退職することなく、事前に退職することはわかると思います。(稀にちがう場合もありますが)よって退職することがわかった段階で、自社で該当する人がいない場合にはなるべく早く外部から雇用するために探しましょう。

ここで注意すべきは常勤でなければいけないということです。よって健康保険証等を提出資料に添付しなければいけないため、短期的な雇用ではなく社員としてきちんと雇用してください。

3.廃業届を提出する

上記1,2と順番に探してもどうしても専任技術者に該当する人が見つからない場合は、廃業届を提出しましょう。

廃業届といっても、要件が整わないために1度建設業許可を辞めるという意味です。廃業届というと会社自体が廃業するのではないかと思われるかたも多いと思いますが、500万円未満の工事であれば問題なく施工できます。

なぜ廃業届を提出するかというと、専任技術者が退職し該当する者がいない場合、建設業許可の要件を満たされなくなるため違法状態になります。その場合にきちんと廃業届を提出してないで、違法状態のままでいることが判明し、建設業許可が取り消された場合には5年間建設業許可を新たに取得することができません。5年間新たに許可が取得できないのはものすごく痛手です。

しかし廃業届をきちんと提出すれば、1度建設業許可はなくなり、その期間は500万円以上の工事はできませんが、新たな専任技術者が見つかり次第、すぐに、建設業許可を申請し再取得することができますので、必ず廃業届を提出するようにしましょう。

まとめ

苦労して取得した建設業許可が5年間取得できなくなることは会社の存続にかかわります。

よって、「いざ」ってときのために

  • 従業員に資格取得を進める
  • 経験ある従業員を雇う

以上の対策をしておきましょう。

専任技術者は営業所ごとに必要ですので、営業所が2か所や3か所ある会社様は営業所ごとに専任技術者になることができる人材を育てるようにしていきましょう。

建設業に従事する人も減少し、高齢化がすすむ建設業界で人出不足は深刻です。しかしながら、未来を見据えた人材を育成し、建設業を存続するために、事前に準備をして経営していくように意識していきましょう。

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