令和2年一級建築士「設計製図試験」の合格発表が令和2年12月25日にありました。今年はオリンピックの影響で学科試験が通常より2週間前倒しになり学科試験が7月12日に設計製図試験が10月11日にあったようです。受験した皆様お疲れさまでした。
合格番号は建築技術教育普及センターのHPにてご確認ください。
今年の試験は学科の合格率が20.7%、設計製図の合格率が34.4%で実試験者全体の合格率は10.6%になったようです。受験者数は例年より5,000人ほど増え約30,000人になったものの、合格率は過去5年間で最も低い結果となりました。学科はほぼ例年通りの合格率でしたが、設計製図は例年より低くとても難しい課題であったようです。
今回、受験資格が緩和され、大学の指定学科を卒業後や二級建築士は実務経験がなくても、一級建築士の試験を受験できるようになりました。実務経験は免許の登録要件になりました。これは以前、耐震偽装事件の影響で一級建築士の受験資格がすごく厳しくなり、一級建築士試験を受験する人が減少したことが原因であり、一級建築士の高齢化により、若年層や中年層に一級建築士になっていただき、高度な技術者を育てることが目的であると考えます。ただし、受験はできても、実務を2年間経験しないと一級建築士にはなれません。専門工事会社などの二級建築士を持っている方は試験は受けることができますが、実務経験がないため、設計事務所やゼネコンに転職しない限り一級建築士にはなれません。転職するとなると非常に壁が高いです。専門工事会社の中にも設計者はいますし、いろいろな取合いを考えなければいけませんので、一級建築士を目指せる環境を作れれば良いのですが。実務経験は例えばオンライン授業を受ければ実務経験ありになるとか、副業で設計の仕事ができるとかいろいろと考えられることはあると思います。何かしら対策を考えなければ、若年層や中年層の一級建築士不足の根本的な解決にはならないような気がします。
アールスタイル行政書士事務所