前回、前々回とエアコン工事を業(お金をもらって仕事をする)として工事・取付・取外しをする場合は電気工事業登録が必要であるということがわかりました。

エアコン工事は電気工事業登録が必要 その1

エアコン工事は電気工事業登録が必要 その2

今回は最終回として、エアコン工事をする場合、どのような場合に電気工事業登録が必要になっているのかを確認していきましょう。

第二種電気工事士をもっていればエアコン工事はできるのか?

エアコン工事をセミナーや講習やYouTubeなどで習って、取付が一人でできるようになり、道具も一通り持っている。そして第二種電気工事士の資格も取得した。

これからホームページや集客サイトに登録してエアコン屋として独立する。

量販店から仕事をもらう。

夏にいっぱい稼ぐ!!

このような方々も少なからずいると思います。

でも少し待ってください。

第二種電気工事士を取得してもエアコン設置工事を請負ことはできません。

自分の家や友達の家にサービスでエアコンを取り付けてあげることはできますが、業(お金をもらって仕事をする)としてエアコンを設置する場合は電気工事業登録が必要です。

エアコン工事と電気工事業登録の現状

エアコンを買うのは今でこそインターネットでエアコン本体のみを購入して、インターネットでエアコン工事をやってくれる人を見つけたりする方々が増えてきましたが、昔は家電量販店で買うことがほとんどでした。

家電量販店で販売されたエアコンは家電量販店の社員が各家庭に取付にいくのであれば、その社員は第二種電気工事士の資格を取得していなくても、エアコンを設置することができます。

ただし、家電量販店はほとんどが外注です。家電量販店が1次下請けに頼み、1次下請けから2次下請けや3次下請けの職人さんに頼む場合も多いそうです。

1次下請けが電気工事業登録をしていて、そこの社員さんがエアコンを設置する場合は何も問題はありません。

1次下請けから2次や3次の個人の職人さんに頼む際、2次や3次の職人さんが第二種電気工事士は持っているから、エアコンを設置することができるというのは誤解です。

第二種電気工事士をもっていても、何十年も経験があっても、電気工事業登録をしていなければ、エアコンを設置することはできません。

ただし電気工事業登録をするにはそれなりの要件をクリアすることが必要になってきますので、その要件がクリアできない為、第二種電気工事士を取得していればエアコンを設置することができるとの誤解をされている方が多いように思えます。

また、自分で良い解釈をしてしまい、電気工事業登録をもっていなくても第二種電気工事士を持っているからエアコン工事はできる。他の人もやってるし。というような考えでエアコン設置を何年も行っている方も多いのが現状です。

家電量販店も1次下請けは電気工事業登録をしているから、2次3次下請けのことは知らないで、実は2次や3次下請けは電気工事業登録をしていないけど、1次下請け以降のことはあまり把握していないことが現状ではないでしょうか?夏場はエアコン設置工事が人手不足になるため、エアコンをお客様に売れば設置工事を早くやらなければならないために多少目を瞑っている場合もあるかもしれません。

なぜ電気工事業登録をしてないで工事をする事業者が多いのか?

エアコン設置工事をするためには電気工事業登録をしなければいけないことはわかってきました。

それではなぜ、第二種電気工事士の資格を持っているのに、電気工事業登録をしないのでしょうか?

それは、電気工事業登録をするための要件として、主任電気工事士の設置が必要であるからです。

主任電気工事士になるための要件は

第二種電気工事士の免状が交付されてから、電気工事業登録・届出を行っている事業者に3年以上雇用されて実務を経験しなければならないため、登録ができないのが実状です。

皆さん電気工事業登録をしたくても主任電気工事士になることができないのです。

第二種電気工事士を取得していても、セミナーや講習、YouTubeなどでエアコンの取付方を学んだが、どこにも雇用されておらず、即独立する方が多い業界でもあるため、主任電気工事士になることができず、電気工事業登録ができません。

よって電気工事業登録をしなければエアコン設置工事をすることはできないのに、それを知らないまま何年もエアコン設置工事を行っていて、その方がベテランになり、アルバイトを雇い、アルバイトが仕事を覚え、エアコン設置工事で独立したり、セミナーや講習を受けて、エアコン設置工事を覚えて独立する方が増えたため、電気工事業登録をしていない事業者が多いのです。

まとめ

近年、エアコン設置工事での事故が増えているようです。

理由は、実務経験不足や知識不足です。

経済産業省も近年、ホームページにてエアコン設置に関するページを作成して、エアコン設置工事を行う場合は電気工事業登録が必要ですと注意喚起を行っています。

経済産業省ホームページ

経済産業省のホームページを見ても家庭用エアコンの設置・修理の工事を行うには電気工事業者の登録等の手続きが必要です。と大きく書いてあります。

今までも書いてはありましたが、令和2年頃から、わかりやすく明記されました。

結論としてエアコンの設置工事を業として行う場合は電気工事業登録が必要です。

これは法律で定められています。

電気工事業登録を持っていなくてもエアコン工事をやっている人が多いから自分も大丈夫だと思い、独立してエアコン職人になってエアコンを設置していると法律違反をしていることになります。

事故が多く、監視の目もだんだん厳しくなってきていますので、いつかもっと厳しくなるかもしれません。みんながやっているから大丈夫ではなく、きちんと法律を守って、きちんとした事業者になるようにしてください。

これからエアコン屋として独立しようとしている方は、いっぱい稼ぎたいと思っている方がほとんどだと思います。でも、自分でも気づかないうちに法律違反をして、後から仕事ができなくなる恐れがないように、きちんと法律を守り、経験を積み、知識を増やして、お客様に信頼される事業者になって下さい。

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