ここ数年、解体工事を行う事業者様が増えてきました。解体工事って500万円未満であれば行って良いのでしょうか?
実は、建設業の解体工事業を行う場合、500万円未満の工事であっても解体工事登録が必要です。
しかし解体工事登録をしたいけど、建設業許可と何が違うの?簡単に登録できるの?というようなご質問が良くあります。
よって今回は解体工事業登録について詳しく見ていきます。
解体工事業登録の趣旨
建設工事に係る資材の再資源化に関する法律(建設リサイクル法)等の規定により、建築物等の解体工事を業として営もうとする者は都道府県知事の登録を受けなければなりません。
解体工事業が取り扱える解体の種類
- マンション
- ビル
- 戸建て住宅
- 倉庫
- 内装
解体工事業といっても解体する種類は多岐にわたります。
解体工事業登録と建設業許可との関係性
解体工事業登録は建設リサイクル法に基づく法律、建設業許可は建設業法に基づく法律、であり根拠となる法律が違います。
解体工事業登録をすると500万円未満の軽微な解体工事を請負うことができます。ただし、登録を受けた都道府県に限ります。
建設業許可の「土木工事業、建築工事業、解体工事業」の許可を受けると、解体工事業登録をしなくても500万円以上の解体工事を請負うことができます。全国どこでも施工可能です。
解体工事業登録と建設業許可の比較表
解体工事業登録 | 建設業許可(3業種) | |
営業可能な工事 | 500万円未満の軽微な解体工事のみ | 500万円以上の解体工事 |
施工可能場所 | 登録を受けた都道府県 | 全国どこでも |
上記表のように、解体工事を行う場合には必ず解体工事業登録もしくは建設業許可を取得しなければなりません。1つの都道府県で軽微な解体工事しかしない場合は解体工事業登録で良いですが、全国で500万円以上の解体工事を行う場合は建設業許可を取得しなければなりません。
解体工事業登録の要件
解体工事登録を受ける要件は2つあります。
- 技術管理者の選任
- 不適格要件に該当しないこと
技術管理者の資格要件
1.実務経験
・大学・高等専門学校で土木工学科を修めて卒業し、解体工事に関し2年以上実務経験を有する者
・高等学校・中等教育学校で土木工学科を修めて卒業し、解体工事に関し4年以上実務経験を有する者
・解体工事に関し8年以上実務経験を有する者
2.資格を有する者
・一級建設機械施工技士
・二級建設機械施工技士(第一種、第二種)
・一級土木施工管理技士
・二級土木施工管理技士(土木)
・一級建築施工管理技士
・二級建築施工管理技士(建築、躯体)
・一級建築士
・二級建築士
・一級のとび・とび工の技能検定に合格した者
・二級のとびあるいはとび工の技能検定に合格した後、解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者
・技術士(2次試験のうち建設部門に合格した者に限る)
3.国土交通大臣が実施する講習又は国土交通大臣の登録を受けた講習(登録講習)を受講した者
・大学・高等専門学校で土木工学科を修めて卒業し、解体工事に関し1年以上実務経験を有する者
・高等学校・中等教育学校で土木工学科を修めて卒業し、解体工事に関し3年以上実務経験を有する者
・解体工事に関し7年以上実務経験を有する者
※登録講習とは公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施する「解体工事施工技術講習」です。
4.国土交通大臣の登録を受けた試験(登録試験)に合格した者
※登録試験とは公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施する「解体工事施工技士試験」です。
5.国土交通大臣が上記1から4までに掲げる者と同等以上の知識および技能を有する者と認定した者
不適格要件に該当しないこと
下記の登録拒否事由に該当する場合は解体工事業登録はできません。
1.解体工事業の登録を取り消された日から、2年を経過しない者
2.解体工事業の登録を取り消された法人において、その処分日の前30日以内にその解体工事業者の役員であった者で、その処分のあった日から2年を経過しない者
3.解体工事業の事業停止を命ぜられ、その停止期間が経過していない者
4.建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
5.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
6.法人の場合で、その役員の中に上記のいずれかに該当する者がいるとき
7.法定代理人がいる場合で、その法定代理人が上記のいずれかに該当するとき
8.技術管理者(法第31条に規定する者)を選任していない者
9.暴力団員等がその事業活動を支配する者
解体工事業登録の提出書類
申請書
1.解体工事業登録申請書(様式第1号)
2.誓約書(様式第2号)
3.実務経験証明書(様式第3号)※技術管理者が実務経験の場合
4.登録申請者の調書(様式第4号)※法人の場合は法人(会社分)と役員全員分
添付書類
法人の場合
1.履歴事項全部証明書
2.役員全員の住民票の抄本
個人場合
1.申請者本人の住民票の抄本
技術管理者
1.住民票の抄本
2.技術管理者が資格者の場合→資格証の写し(原本提示)
技術管理者が学卒者の場合→卒業証明書の写し(原本提示)又は卒業証明書(原本提出)
技術管理者が講習受講者の場合→受講修了証の写し(原本提示)
解体工事業登録申請手数料
解体工事業登録をするために役所に収める手数料です。
新規 | 更新 |
33,000円 | 26,000円 |
解体工事業登録の申請を行政書士に依頼する場合は別途費用が発生します。
解体工事業登録後
無事、解体工事登録を終え、解体工事をすることができるようになりますが、登録後に行うことがあります。
1.標識の掲示
「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」第33条の規定に基づき、営業所及び解体工事現場ごとに標識を掲げなければなりません。
標識は横35cm以上、縦25cm以上
記載内容
- 商号、名称又は氏名
- 法人である場合の代表者の氏名
- 登録番号
- 登録年月日
- 技術管理者の氏名
2.帳簿の備付
解体工事業者は営業所ごとに帳簿を備え、解体工事ごとに作成するとともに、契約書等の書類を添付しなければなりません。(5年間保存)
3.登録の更新
解体工事業の登録業者が引き続き解体工事業を営もうとする場合には、登録の有効期間が満了する日の2か月前から30日前までに登録の更新を申請することとなります。
まとめ
今回は解体工事業登録について説明しました。解体工事を行う場合、他の業種と違い、500万円未満の工事でも登録をしなければなりません。
ただし、建設業許可と比べると、許可要件はそこまで難しくはないため、500万円未満の解体工事を行う場合は必ず事前に登録するようにしましょう。
建設業許可、CCUSなどの建設業関係の許認可でお困りなら、建設業の国家資格者が在籍するアールスタイル行政書士事務所までお気軽にご相談ください。親切丁寧に対応させていただきます。