東京では決算変更届、埼玉では事業年度終了報告と自治体によって呼び方が違いますが、全く同じものです。ここでは決算変更届という言い方で統一させていただきます。
決算変更届は建設業許可を取得済の会社であれば毎年必ず提出しなければなりません。よって建設業許可が取得できたのであとは何もしなくていいやではなく、毎年提出しなければ、更新や業種追加、さらには経営事項審査を受ける際に困ることになりますので、確実に提出をしましょう。ここでは決算変更届について詳しく見て行きます。
決算変更届とは
決算変更届とは建設業者が事業年度ごとに作成する、その事業年度の工事実績や財務状況を報告する届出書のことをいい、建設業許可を取得済の会社は毎年必ず提出しなければいけない届です。
決算変更届という名称から、何か変更した際に届出る書類だと思われがちですが、決算は毎年変わりますのでその際に報告しなければいけない書類であると認識しておきましょう。ちなみに埼玉では事業年度終了報告という呼びかたです。読んで字のごとく事業年度が終了したら報告する書類なのでわかりやすいですね。
決算変更届の提出期限
決算変更届は提出期限があり、事業年度終了日から4か月以内に提出しなければいけません。3月末決算の会社の場合、決算変更届の提出期限は7月末です。(個人事業主の場合は事業年度が1/1~12/31ときめられていますので決算変更届の提出期限は必ず4月末になります)なぜ4か月以内かというと、決算変更届は財務諸表も提出します。会社が決算日をむかえて税理士さんが申告するのが約1~2か月後、申告してから決算書をもらうのが約3か月後、そこから決算変更届を作成して提出するまでが4か月後ということで4か月以内に提出するということでしょう。
4か月というと結構時間があるように思えますが、書類が集まって提出するまで約1か月くらいしかないため実際はあまり時間がありませんので、作成できる資料を先に作成しておいて、財務諸表を税理士さんからもらってすぐに確認して、提出用資料をまとめたほうがよろしいでしょう。
決算変更届を提出しないと罰則はあるのか
ここまで読まれて決算変更届をいままで提出したことがないけど大丈夫?と心配なさる会社様もいらっしゃると思います。決算変更届を提出していない場合、建設業法では「懲役6か月または100万円以下の罰金」が科されます。結構重い罰則が科されますね。
ただし自治体によって異なりますが、悪質なケースを除いて即罰則が科されるケースはあまり聞いたことがありません。埼玉では始末書を提出すれば許してもらえました。また、口頭注意だけの自治体もあります。
しかし、即罰則が科されないから提出しなくてもいいやではなく、決算変更届を提出していないと許可の更新や業種追加の際に受付してもらえません。更新を受付してもらうためにはいままで提出していない事業年度分のすべてを提出しなければなりません。その書類を作成しているあいだに更新期限が過ぎてしまえば、更新できず、せっかく取得した建設業許可が失効してしまいます。こうなってしまっては再度、建設業許可を新規で取得するしかないため、多大な時間やお金の無駄になってしまいます。こうならない様に必ず毎年4か月以内に提出するようにしましょう。
もし提出期限の4か月を過ぎてしまっても受付してもらえますので、まずは各自治体や行政書士に相談することをおすすめします。
決算変更届のまとめ
決算変更届は必ず事業年度終了後4か月以内に提出するようにしましょう。
また、決算変更届はだれでも役所にて閲覧が可能です。その理由は、発注者保護の観点があります。発注者や施主が依頼する工事会社の経営状況や工事実績を確認することができるので、もし決算変更届が出ていない時に発注者が閲覧して、決算変更届が提出されていない事実を知った時点で会社の社会的信用がガタ落ちになることは避けられないでしょう。罰金や始末書だけで済めばいいですが、社会的信用を失うと会社の将来にも響きますので忘れずに提出するようにしましょう。
決算変更届は行政書士に頼まず、自分で作ろうと思えば作れる書類です。ただし、税理士さんが作った財務諸表と決算変更届に添付する財務諸表は建設業会計のため異なりますので注意が必要です。
また経営事項審査を受ける場合、経営事項審査は決算変更届の内容を元に審査を受けるため、決算変更届の記入を間違えると経営事項審査の評点にも影響が出てしまいます。よって専門家である行政書士に任せるのをおすすめします。
自分で提出するにせよ、行政書士に依頼するにせよ、必ず事業年度終了から4か月以内に提出するようにしましょう。
アールスタイル行政書士事務所